海外から日本のTV”ナマ”視聴 海外モバイル実用度No1 TV遠隔視聴
TV遠隔視聴は、インターネットに接続したパソコンやスマートフォンから、遠隔地の地上デジタルTV放送を視聴する方法です。これを利用すれば、海外から日本のテレビ番組をほぼリアルタイム”ナマ”で観ることができます。
本ブログ記事では、海外モバイルで実用度No.1の実績を持つ、TV遠隔視聴の概要を紹介します( 解説でなく概要紹介なので、詳細には触れていません。詳細情報が必要な場合は、TV遠隔視聴機器の説明書などをご参照ください )。
TV遠隔視聴の仕組み(その1.概要)
TV遠隔視聴は、TV映像をインターネットで送り、遠隔地で再生する方法です。
この方法を利用する事で、TV放送が受信できない海外の遠隔地から、日本のTV番組を視聴する事ができます。
TV遠隔視聴は、TV映像をインターネットで遠隔地に送り出す側(送り手)と、インターネットから受け取った映像を再生する側(受け手・視聴端末)の連携動作で動きます(図)。
TV遠隔視聴の実際
前項で触れたように、TVを遠隔地で視聴できるのは、TV映像をインターネットに送り出す側と、それを遠隔地で受けて映像を再生する側の双方の連携動作があるからです。
ここでは、海外で日本のテレビを観る場面を想定し、TVを遠隔視聴する側(受け手・視聴端末)と、TV映像を送り出す側(送り手)の、機器と操作の概要を紹介します。
●TV遠隔視聴端末の機器と操作
視聴端末では、インターネットで遠隔地に送られて来たTV映像を受信し、視聴用
ソフトで再生します。必要なものは、次の3つです。
TVを視聴するための視聴端末に必要なもの
①:パソコンまたはスマートフォン
②:視聴用ソフト
③:インターネット接続(有線・モバイル・WiFi)
注:映像再生には、TV映像の送り手との協同作業が必要です
TVの視聴操作は簡単です。インターネットに接続された、パソコンまたは
スマートフォンなどの視聴端末で、専用の視聴用ソフトを起動させるだけで、
送られて来たテレビ映像を画面上に表示できます。 専用の視聴用ソフトのアイコン(例)
視聴用ソフトは、TV遠隔視聴機器のメーカーから、無料または有料で供給、
されます。ソフトのインストールは、インストーラーなどで、問題なく行えます。
表示される映像の品質は、アナログテレビ以下の粗くボケている事が残念
ですが、番組内容は十分理解できるレベルです。
遠隔地側でのTV視聴に必要な費用は、インターネット通信料のみです。
チャンネル切り替えなどの操作は、視聴端末上の視聴用ソフトから簡単に
行えます。
チャンネル切り替えなどは、映像の送り手側の機器を操作する必要がある
ので、操作の指示を受けた視聴用ソフトは、送り手に向けて、インターネット
で操作信号を発信します。
映像の送り手側は、受け取った操作信号に対応する操作を実行します。
ここで、TV遠隔視聴がどのように動くのか、少し具体的に眺めてみます。
- ■ ホテルの客室からの視聴
-
ホテルでの視聴は、日本のTVを海外で遠隔視聴する一番ポピュラーな
形と思われます。
ベトナム・ハノイのホテル客室で観る日本の天気予報
(インターネットは携帯電話のテザリングで接続)
- TV番組の視聴は、パソコンをホテルの有線・無線LANでインターネットに接続した後、視聴用ソフトのアイコンをダブルクリックして起動させるだけで行えます。視聴用ソフトが起動すると、日本のTV番組がパソコンの画面に表示されます。
-
チャンネル切り替えなど画像の送り手側に対する操作は、視聴用ソフトのメニューを操作するだけで簡単に行えます。但し、行った操作が映像の送り手に届くまで時間がかかるので、操作が反映されるまで、タイムラグが生じます。
視聴端末の画面に表示された操作用リモコン
- ■ 屋外でモバイルでの視聴
- インターネット接続をモバイルで行えば、屋外や走行中の列車など、あらゆる場面で日本のTVが視聴できます(写真はスマートフォンでの視聴例、表示はCG合成)。
- この場合も、TV番組の視聴は、視聴端末をモバイルインターネットに接続した後、視聴用ソフトのアイコンを起動させるだけで行えます。視聴用ソフトが起動すると、日本のTV番組が視聴端末の画面に表示されます。
遠隔地で日本のテレビを視聴する形態は下図の通りです。何れも視聴端末が
インターネットに接続されている必要があります。
●TV映像を送り出す側(送り手)の機器と操作
TV映像の送り手では、地デジ放送から得られた映像を、TV遠隔視聴用機器を
通してインターネット上に送り出します。必要なものは次の6つです。
映像の送り手に必要なもの
①:地デジアンテナまたはケーブルテレビなどの受信設備
②:地デジチューナー
③:TV遠隔視聴用機器
④:常時接続ブロードバンドインターネット(ADSL・光など)
⑤:機器類の電源(電源コンセント2~3口)
⑥:機器類の設置スペース
注:設置スペースと機器配置は下のイメージ図をご参照ください
映像の送り手側では、すべての機能が自動で行われるので、特に人の操作が
必要な場面は見あたりません。
チャンネル切り替え等、視聴側で行った操作は、操作信号としてインターネットで
伝えられるので、送り手側は信号に従い、操作を完了させます。
この場合も、処理は自動なので、人の操作の必要ありません。
送り手の機器類は、視聴側から操作信号を常に受け取れるように、常に電源を
入れたままにするの普通です。
この場合、機器の消費電力は、常時電源投入が当たり前のインターネット接続
用ルーターと同程度で、電気代を気にするレベルではありません。また発熱や
騒音発生も僅かです。
- 震災と原発事故以降の日本では、停電を視野に入れて機器を動かす必要が出ていますが、TV遠隔視聴用機器は、停電時や停電復旧時に、特別な操作や設定の必要はないと言われています。
送り手の機器の設置に関しては、ある程度のスキルが要求されます。設置作業
に要する時間は2~4時間程度で、それ程楽ではありません。
機器の設置や設定は、本記事内”TV遠隔視聴機器の設置と設定の概要”を
参照してください。
- 上記必要なもので一番問題になるのが、⑥機器類の設置スペースの確保です。詳細は、”TV遠隔視聴機器の設置と設定の概要”の項目”0:機材設置場所の確保”をご覧ください。
TV遠隔視聴の仕組み(その2.少し詳しく)
ここからは、TV遠隔視聴について”少し”踏み込んでみます。
●TV遠隔視聴の本当の価値とは何か?
海外のケーブルTVで流れる日本人向け放送の内情
「TV遠隔視聴が無くても海外で日本のテレビを見た」経験を持つ方が多いと
思います。確かに海外のケーブルテレビなどが日本のTV番組を配信している
例は珍しくありません。
しかし、これらTV遠隔視聴を使わずに海外で見る日本のテレビ番組は、放送
スケジュールや番組内容など海外向けに特別に編成・編集されたものなので、
日本で放映されている”ナマ”番組と内容が異なります。
海外の政治状況を配慮して、番組内容を変えたり配信停止する事もあります。
例えばTV放映権料が高額な人気国際スポーツ実況では、出費を抑えるため、
海外向けの放映権を取得しない事があり、その場合海外のケーブルテレビ
への番組配信は行われない事になります。
こうした点からTV遠隔視聴はメリットは明らかです。それは海外から日本の
TVをありのままの”ナマ”で視聴できる点です。
日本で放映中の地デジ全チャンネルの、全番組を海外からリアルタイムで
見られる意義は偉大と考えます。
- 海外のケーブルTVでオリンピックの日本の試合中継は見られない?
- オリンピックなど、国際スポーツイベントでは、日本のチームや選手が出場する試合が海外の日本人向けメディアで中継放送されるかは、かなり微妙です。
- これは、番組放映権の制約のためです。例えば、日本国内だけの放映権しか得ていない場合は、海外向けメディアに配信されません。
- この場合、試合が行われている時間帯にも関わらず、海外では試合と関係ない古いドラマなどがリバイバル上映される、とても悔しい状態になります。
- 日本の試合を確実に観る方法は、TV遠隔視聴が最良と思われます。
●映像が遠隔地に届けられるまでの流れ
日本のTV映像が、遠隔地に届くまでの各機器の役割と経路を見てみます。
TV局が電波に載せて放送した地デジ番組は、地デジアンテナでキャッチされ、
地デジチューナーに導かれます。
地デジチューナーでは、デジタル映像信号を取り出して、アナログ映像信号に
変換します。
アナログ映像信号は、TV遠隔視聴機器に導かれ、インターネットで伝送可能
なストリーミーング映像データに変換され、遠隔地に送り出されます。
遠隔地では、インターネット経由で受け取ったストリーミング映像データを再生
します。
●遠隔地で行ったチャンネル操作が有効になるまでの流れ
遠隔地の視聴端末から映像の遠隔視聴機器に向けて送られて来る操作信号
の流れを見てみます。
遠隔地でTV視聴用ソフトのメニュー等でチャンネル変更操作をすると、操作
信号がインターネットを通じて映像送り手側に向けて送信されます。
映像送り手側では、インターネットから操作信号を受け取り、信号内容に対応
する地デジ用リモコンの赤外線点滅パターンに変換します。
TV遠隔視聴機器が、赤外線点滅パターンを地デジチューナー照射します。
地デジチューナーは赤外線点滅パターン(チャンネルリモコン信号)を受け、
チャンネルを変更します。
ここからは、TV遠隔視聴を実現するための作業のポイントを、ステップ毎に紹介します。
- ここでは次のTV遠隔視聴機器を例として採り上げますが、異なる機種でも原理が同じなら作業イメージは同じになります。
米国Monsoon Multimedia製 VULKANO FLOW( ioPLAZA輸入販売 )
価格 : 1万800円(ioPLAZA店 2012年5月時点)
- 参考:上記製品のマニュアルなどは次のサイトで入手できます。
VULKANO FLOWマニュアルダウンロードページ(ioPLAZA)
http://www.ioplaza.jp/shop/contents/vulkanomanual.aspx
日本のTV放送を受信するため、遠隔視聴用機器は日本国内に設置する必要があります。
設置場所は、インターネットと地デジが引きこまれている、一般住宅が適当です。
設置に必要なものは、TV遠隔視聴機器の設置スペース(下図イメージ参照)、電源コンセント(2~3口)、TVアンテナケーブル、LANケーブル(インターネット接続をWiFで行う場合、はケーブルは不要)です。
- ”日本国内”に遠隔視聴用機器の設置場所が確保できるかどうかが、TV遠隔視聴成功のカギです。
- 海外赴任などで、日本国内に設置場所が確保できない場合、実家や知人宅のスペースやユーティリティーを借りる(提供してもらう)必要があります。
この場合、設置場所提供者に電気代やインターネット接続料などの費用負担がかかるので、事前にそれらの点を説明し、支払いなどトラブルにならないように話を詰めておく必要があります。
1:TV遠隔視聴機器を準備
TV遠隔視聴用な機器を揃えます。機器は色々なメーカーから様々な機種が販売されています。カタログや口コミなどで内容を確認の上、安価なものを購入して下さい。
- ①:地デジチューナー( 必ずリモコン付きが必要です )
リモコン付(必須)の安価な製品を購入します。また、地デジアンテナを
分配して配線する場合、二股分配器(:約2千円?)とケーブル2本を、
併せて購入します。
例 : アイオーデーHVT-T2SD同等品 価格 : 約5千円
- ②:TV遠隔視聴用機材
各社から機器が販売されていますが、インターネット経由で海外等の
遠隔地でテレビ視聴ができるもの(家庭内でのみ視聴可能な製品も
あります)製品を購入します。
例 : VULKANO FLOW 価格 : 約1万1千円
2:機器をケーブルで接続する
機器のマニュアルに従い、ケーブルを接続します。接続イメージは図の通りです。一見複雑に見えますが、機器の説明書に従えば、難しくないと思います。
ここでの注意点は、地デジチューナーに接続するアンテナ線です。
アンテナ線を繋ぎ込むソケットや端子がない場合は、普段TVを視聴するテレビのアンテナケーブルを、二股分配器(別途2千円程で購入)で二分岐し、そこからケーブル(別途購入の必要)でチューナーに繋ぎ込みます。
3:TV遠隔用視聴機器を設定する
設定作業は、主にTV遠隔視聴機器の設置場所で行います。作業は、TV遠隔視聴機器のマニュアルに従って行いますが、ここではポイントになる内容だけ触れてみます。
- 地デジチューナーはケーブルを繋げば、特に設定する必要はありません。
●インターネット接続設定のポイント
機器設置場所のインターネットが、UPnP対応ルーターを通して接続されている
場合は、比較的簡単に(うまくすれば何もしない全自動で)インターネット接続
設定が完了します。
- 作業内容は、設置場所のインターネット接続環境で異なるため、マニュアル通りにいかない可能性がありますが、作業を間違えても機器を損傷する心配はないので、成功するまで何度でもチャレンジして下さい。
設置場所のインターネットが、UPnP非対応ルーター経由で接続の場合、遠隔
視聴機器とルーターを手動で設定する必要があります。
具体的には、遠隔視聴機器の固定プライベートIPアドレスを割り当て、ルーター
に、指定ポート番号の宛先に、割り当てたIPアドレスを指定するポートマッピング
の設定が必要です。
場合によって、これ以外にもDDNSなど専門性の高いサービスや設定が必要に
なるため、専門知識がない一般人のレベルを超えてしまいます。
そのため一般の方は、ルーターをUPnP対応ルーターに交換するのが現実的
です。UPnP対応ルーターは量販店で数千円程度で購入できます。
●遠隔視聴機器に対するリモコンパターン学習作業の要点
チャンネル変更等の操作は、地デジチューナーの赤外線リモコンで行います。
但し、遠隔視聴機器は地デジチューナーのリモコンボタンを押す事ができない
ため、リモコンから照射される赤外線と同じ点滅パターンを、地デジチューナー
に向けて照射する形で、地デジチューナーを操作します。
赤外線点滅パターンは、チューナーの機種毎に異なるため、遠隔視聴機器に
赤外線点滅パターンを教える”学習”作業を行う必要があります。
この学習作業は、根気が必要で、学習ができない、学習させた内容が異なる
など、問題が起こり、その都度やり直しが必要になります。
TV遠隔視聴機器によっては、あらかじめ特定の地デジチューナーのパターン
がファイルで供給されている場合があり、作業の手間を大幅に削減できます。
それでも問題は起こるのがこの作業なので、根気は必要です。
TV遠隔視聴の課題
便利なTV遠隔視聴ですが、現時点でいくつか課題があります。ここでは、筆者の個人的意見を含め、課題について説明します。
1.技術的課題
- 画質向上
- 残念ながら、TV遠隔視聴の画像は、地デジと比べ物にならないほど、粗く品質の低い状況です。
- これは、画像をインターネットで送る必要性から、データー転送量を落とす目的で、意図的に粗い画像にしています。
- 更に、地デジから送られたままで、DRM著作権保護が掛けられたデジタル映像、はそのままインターネットに流せないので、一旦画像をアナログ化し、その後低品位のデジタルストリーミングに変換しています。これらの処理で画像は更に劣化します。
- 画像の質の向上が、当面の技術的課題です。
- 使い勝手改善
かつてソニーがLocation Free(通称ロケフリ)と言うTVチューナーとTV遠隔視聴機能が一まとめになった使い勝手の良いオールインワン構成の製品を販売していましたが、残念ながら、現時点で生産が中止されています。 - 現在は、オールインワン構成の製品が全くないので、TVチューナーとTV遠隔視聴機器を別々に購入する必要があります。
- ここで問題なのが、チャンネル切り替えなど機器同士の連係です。遠隔地からのチャンネル切り替え操作信号は、直接TVチューナーに伝えられないので、TV遠隔視聴機器が一旦指示を受け取り、リモコンでTVチューナーをコントロールします。
- と言っても、TV遠隔視聴機器はリモコンのボタンを押せないので、リモコンと同じ赤外線をTVチューナに向けて照射します。
- TVチューナーは、機種毎に違う赤外線(点滅パターン)を採用しているため、TV遠隔視聴機器には、TVチューナーの赤外線(パターン)を学習させる必要があり、困難で時間のかかる作業を行う必要性があります。
2.法律的課題
- TV遠隔視聴は、TV番組をインターネット経由で遠隔地に送り込む事を前提としていますが、その送り込みを「誰が」やるかの部分が問題になります。
この送り込みをする「誰か」が営利目的の業者の場合、法律違反になります。 -
TV遠隔視聴の法律問題 : 個人的利用は合法、それ以外違法
現在、料金を取り、海外の顧客などにTV番組を配信する業者が存在します。しかしこの行為は、著作権侵害で違法との判決が日本の最高裁で確定しています。
利用者にとって、業者のTV遠隔視聴サービスは、手間いらずで魅力的なのですが、現状では違法です。
今後、合法的に業者が介在できる、利用者にとって便利なTV遠隔システム実現の
法制化が法律的課題と言えます。-
本記事の方法は、純粋に個人利用なら適法と思われます
本記事で紹介する方法は、個人の視聴目的で、個人専用の設備を設置し、個人向けにTV番組を配信し、個人的目的で自分が再生するので、筆者が見る限り合法と思われます。但し、この範囲を超える利用は違法です。
筆者は法律家ではないため、適法・違法判断をできる立場にはありません。それぞれ自己責任で判断をお願いします。
資料編
●TV遠隔視聴機器メーカーへのリンク集
ioPLAZA( VULKANOFLOW販売 )
http://www.ioplaza.jp/shop/contents/vulkanomanual.aspx
SLINGBOX
http://www.slingbox.jp/
UMAZON( TVfrii販売 )
http://www.umazone.jp/Page/GOODSDETAIL-390
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